現在、わが国の認知症患者は462万人、そして軽度認知障害(MCI)の人が400万人といわれています。今後とも高齢化が続き高齢者ケアとともに認知症問題が深刻化していきます。国も認知症対策としてさまざまな施策や取り組みが打ち出されています。特に認知症予防、認知症ケアに携わる専門職の養成が急務となっているのが現状です。
しかし、認知症の人を抱える家族の多くは、認知症の人に関する基礎知識やそうした人への対応がわからないため、自分たちの生活に大きな不安を抱えています。また、そうした家族を取り巻く地域では、認知症の人やその家族に具体的にどのようにサポートしたらよいかがわからずに悩んでいる人が多いのが現状です。
認知症の人およびその家族が人間としての尊厳を失うことなく、幸せな人生を送れるように、認知症を一個人のこと、一家族のことに終わらせずに社会全体でサポートしていくことが望まれます。そのためには、多くの人が何よりも認知症の人を理解することで、「やさしく接することができる」ということがとても大切なことであると考えます。
多くの人が認知症に関する基礎知識を身につけ、それに加えて心身の活性化のためにアクティビティやレクリエーションなどを活用したコミュニケーション手法を知ることは、認知症のケアに止まらずその
予防に重要な役割を果たします。
一般社団法人 日本認知症コミュニケーション協会は、当初(2004年)は、NPO法人「福祉・住環境人材開発センター」の一部門でしたが、認知症ケア・生活支援に関する調査・研究等を厚生労働省、郵便事業株式会社の助成事業として5年間実施するとともに、実践的な専門職の育成を行ってまいりました。かかる成果を踏まえて、認知症の人やその家族に対して多種多様なアクティビティを使って生活支援できる人や、この分野で活躍できる専門職の育成を目指しております。
今後とも、認知症に関する調査・研究、人材育成など、普及・啓発を行うことにより、わが国の福祉の増進に資することを目的に「一般社団法人 日本認知症コミュニケーション協議会」を設立しました。